こまばアゴラ劇場

会場情報

正式名称・別名:
こまばアゴラ劇場
開館:
1984年
閉館:
2024年5月31日
住所:
153-0041 東京都目黒区駒場1-11-13
概要:
こまばアゴラ劇場(こまばあごらげきじょう)は東京都目黒区にある小劇場。劇団青年団の主宰である劇作家・演出家の平田オリザが支配人(オーナー)兼芸術監督を務めた。
沿革:
1984年こまばアゴラ劇場 開館
1985年7月有限会社アゴラ企画 設立
1986年平田オリザがこまばアゴラ劇場の支配人に就任
※この年より劇団「青年団」はこまばアゴラ劇場を拠点に活動開始
1986~1988年ミューズフェステバル(全3回)を開催
※脚本・演出・制作責任者のいずれかが女性であることが参加条件のフェスティバル
1988~2000年大世紀末演劇展(全13回)を開催
※地方劇団の連続上演企画としてスタート
様々な地域の劇団と交流を深め東京の観客との出会いの場を提供していく。
1993年・1994年日韓ダンスフェスティバルを開催
第1回(1993)、第3回(1994)こまばアゴラ劇場が会場となる。日韓両国で活発に活動する30代を中心とした舞踏家を集めたダンスフェスティバル。
1993年から2000年まで平田オリザがフェスティバルコーディネーターを務めた。

2001~2010年冬のサミット/夏のサミット(各10回)を開催
*演劇の可能性を模索するアーティストと観客が劇場で出会い、演劇の次なる領域を共に探っていくことを理念し、年に冬と夏2回開催。岡田利規や杉原邦生などがサミットディレクターを務めた。

2003年こまばアゴラ劇場において、通常の貸し小屋業務をすべて停止し、劇場で行われる全公演を「こまばアゴラ劇場プロデュース」として上演。こまばアゴラ劇場支援会員制度を開始。

2003年10月新しい表現を求めて実験を試みる工房として、「アトリエ春風舎」を板橋区小竹向原に開設

2011~2012年 サマーフェスティバル〈汎-PAN-〉(全2回)を開催
「Performing Arts Network」の頭文字である「PAN」に、「広く行き渡る」という意味を持つ漢字「汎」を当てたサマーフェスティバル。矢内原美邦がフェスティバルディレクターを務めた。

2013年こまばアゴラ演劇学校”無隣館” を開校

2015年京都のアトリエ劇研との包括提携を結び、劇場支援会員の連携を開始。
※翌2016年には全国4地域6館、2023年には全国6地域9館が連携劇場となる。

2020年
兵庫県豊岡市に「江原河畔劇場」を開館
劇団「青年団」は江原河畔劇場に拠点を移す。

2024年5月こまばアゴラ劇場 閉館
関連リンク:
http://www.komaba-agora.com/

代表作

  • 『東京ノート』舞台写真

    青年団若手公演『東京ノート』作・演出:平田オリザ、舞台美術:杉山至×突貫屋、装置:鈴木健介、照明:岩城保、宣美:太田裕子、制作:松尾洋一郎 澤藤歩 田嶋結菜

    2004年4月9日(金)~18日(日)

    1995年、岸田國士戯曲賞受賞作品。これまでに13ヶ国語に翻訳された『東京ノート』は、近未来の美術館を舞台に、現代社会を生きる家族や人間関係の緩やかな崩壊を描き、国内外で高い評価を得てきました。
    (青年団HPより)

  • 『東京ノート』舞台平面図

    <舞台美術に関して>
    劇場を横使いする。横使いする事によって見える劇場のエレベーターを使い、さらには常設の床をはがし、コンクリート剥き出しにする。そして劇場躯体の柱や手すりを塗装する。これは青年団がアゴラでやる時にはよく使う手法です、
    劇場の大きさは7.8m×10.5m(4.3間×5.8間)と決して大きくないこの空間を最大限に活かすためには劇場空間の全てを活用する必要があります。この作品はまさにその典型例と言えるかもしれません。

  • 『砂と兵隊』舞台写真

    青年団第49回公演『砂と兵隊』 作・演出:平田オリザ、舞台美術:杉山至×突貫屋、装置:鈴木健介、照明:岩城 保、衣装:有賀千鶴

    2005年11月18日(金)- 12月4日(日) 21ステージ

    この行軍は、どこまで続くのか··· そして彼らは、どこに行こうとしているのか···。
    2003年『南島俘虜記』『もう風も吹かない』、2005年『御前会議』… 滅び行く日本を執拗に描き続ける平田オリザの最新作! 火野葦平の戦前のベストセラー小説『麦と兵隊』をモチーフに、砂漠の中で行軍を続ける人々を描く不条理劇。 この行軍は、どこまで続くのか…そして彼らは、どこに行こうとしているのか…。
    (青年団HPより)

  • 『砂と兵隊』舞台平面図

    <舞台美術に関して>
    タイトルにあるように舞台美術にも大量の「砂」を使用しました。舞台機構がある劇場では砂と水はとても敬遠されます。アゴラは舞台機構はないものの、俳優や観客への喉の負担や照明機材への負担はあったかもしれません。ただ大量の砂で構成された存在感は他ではなかなか出せないものだったと思います。バラシ時にバトンと灯体に大量の砂埃が付着しているのを見て、やはり劇場にとって砂は天敵なのだなと改めて実感しました。

  • 『バルカン動物園』舞台写真

    青年団若手公演『バルカン動物園』 作・演出:平田オリザ、舞台美術:杉山 至 島田淳夫、照明:伊藤泰行、衣裳:正金 彩

    2011年3月18日(金) - 28日(月) 計18ステージ

    人類は生物進化の果てにいるはずなのに、私たちは、どうしてこんなに悲しいんだろう
    202×年、ヨーロッパの大戦で死亡した天才科学者の脳だけが生きのこる。
    その脳の受け入れを巡って延々と交わされる先端科学の議論と膨大な無駄話。
    1997年初演、同時多発会話演劇の頂点と言われる超大作、久々の再演です。
    (青年団HPより)

  • 『バルカン動物園』舞台平面図

    <舞台美術に関して>
    『東京ノート』と同じく横使い、そして、劇場の壁や手すりを塗装して空間構成をしています。
    青年団はいわゆるベニヤを貼った「パネル」を使う事がほとんどありません。
    特にアゴラでやる場合は、制限された空間、客席との近さを考えるとフェイクの「パネル」を見せるよりも劇場をそのまま見せてしまった方が効果的だからです。
    ここでも劇場の躯体をメインに舞台装置は鉄骨・アクリル・ロッカーという本物の素材で空間構成されています。

  • 『四番倉庫』舞台写真

    青年団リンク 二騎の会『四番倉庫』 作:宮森さつき 、演出:多田淳之介、照明:岩城 保、舞台美術:鈴木健介

    2011年6月4日(土)〜15日(水)

    移り変わる四季の中に生きる女性を描いてきた宮森さつきが、
    2年ぶりとなる演出・多田淳之介とのコンビで、
    ハードになれない男達による、現代のハードボイルドに挑む。

    しけもく、カップラーメン、缶ビール…
    空き倉庫で顔を合わせる、うだつが上がらない男達。
    繰り返される日常に流され続け、ふと気がつけば、友も金も、何もない。
    このぐだぐだな毎日とおさらばすることはできるのか?
    季節を捨てた二騎の会が送るダメ男達の物語。
    (アゴラ劇場HPより)

  • 『四番倉庫』舞台平面図

    <舞台美術に関して>
    青年団の例に漏れず、こちらもアゴラ劇場の剥き出しの空間をそのまま利用した舞台美術です。舞台装置としてあるのは黄色い柱と奥にある白い棚、そして机と椅子くらいです。メインビジュアルである四番倉庫の「4」は劇場のシャッターに直接塗装しました。こんな方法が取れるのもアゴラの自由度のおかげだと思います。戯曲演出などの方向性がうまく重なるとアゴラでは最小限の力で最大限の効果を発揮できます。

  • 『いないかもしれない』舞台写真

    うさぎストライプ いないかもしれない2部作『いないかもしれない 静ver.』『いないかもしれない 動ver.』作・演出:大池容子

    2015年5月3日[日] - 5月12日[火]

    おなじ戯曲をふたつの演出でお届けする「いないかもしれない2部作」2012年4月・6月に若手自主企画として上演した『いないかもしれない 静ver.』『いないかもしれない 動ver.』。この2作品を2部作としてこまばアゴラ劇場で再演します。同窓会の二次会を舞台に、かつて教室の隅っこにいた人々の、うじうじした過去と現在を描きます。
    (アゴラ劇場HPより)

  • 『いないかもしれない』舞台平面図

    同窓会の二次会で集まるカフェバー的な空間です。元々は使用用途が異なる雑居ビルのワンフロアをベースとした飲食店にリノベーションをしたイメージでデザインをしました。テーブルやイスもあえてバラバラな物を配置しています。また劇場設備のエレベーターをそのままお店の入り口として使用したり、斜め配置の客席で劇場の対角線を見せることで、こまばアゴラ劇場の持つ無骨な雰囲気をリノベーションでもよく採用される「躯体現し」に見立てています。

  • 『南島俘虜記』舞台写真

    青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”『南島俘虜記』作・演出:平田オリザ、舞台美術:青年団美術部、照明:井坂 浩、衣裳:正金 彩

    2017年4月5日(水)- 4月23日(日) 21ステージ

    近未来の架空の戦時下、どこにも行き場のない捕虜たちのおそろしいほどに退屈な日々近未来の架空の戦時下、南方の島に囚われた日本人兵士たち。

    舞台上では、時代も、敵も、特定されてはいない。戦争はいつ終わるとも知れず、捕虜たちは、日本に帰国する希望も持てない。祖国は荒廃し、帰国しても、そこに幸せが待っているとは、到底考えられない。

    一方、南の島での生活は、何不自由なく、時間はゆっくりと、怠惰に過ぎていく。何もすることのない、生き続けることに何の目的も見いだせない捕虜たちの、おそろしいほどの退屈が、全編を通して克明に描かれる。『S高原から』『冒険王』の系譜を引く、どこにも行き場のない人々の切ない日々が、平田独特のユーモアをもって綴られていく。

    (青年団HPより)

  • 『 南島俘虜記』舞台平面図

    <舞台美術に関して>
    これはアゴラの躯体を完全に覆ってしまった例です。躯体を美術の中に取り組む事が多いのですが、
    限られた空間だからこそ全面埋める事も十分可能です。
    この公演では客席まで含めジャングルを模したフェイクグリーンを隙間なく埋め、
    天井も軍用ネットで覆うという何とも照明泣かせな舞台でありましたが、
    舞台と観客が一体となる密度の濃い空間はまた新しい使い方であったと思います。

特集

こまばアゴラ劇場研究会・中間報告会(仮)

日本の小劇場文化をセノグラフィーの視点で考察する
40年以上に渡り東京の小劇場シーンを牽引してきたこまばアゴラ劇場の2024年閉鎖に伴い、築地小劇場から始まった日本の小劇場文化をセノグラフィーの視点からみつめ直す研究会の活動報告。

こまばアゴラ劇場 オンライン下見動画

2020年のコロナ禍に作成した動画です。
直接下見に来られない方の為に、こまばアゴラ劇場を利用するイメージを持っていただけるように作成しました。